...写真:よみうり文化センター千里陶芸工房

第二章

土について


やきものの原料は粘土と釉薬であり、いずれも地球のおくりものである。・・

地球の岩石は、火成岩と堆積(水成)岩と変成岩から成っています。

地球の本体はマグマによって出来る火成岩であり、それが風雨によって細かく砕かれ 水によって流され最後に堆積して堆積岩(水成岩)と成る。 そして、これらの火成岩や水成岩が著しい地殻変動や環境変化により新しい組織の鉱物 として出来たのが変成岩です。 さて、粘土とは、また粘土ははどうして出来たのか
粘土とは、珪酸アルミニウムを主成分とした微粒子の鉱物からなる可塑性が強い土の ことである。 粘土は、珪酸や酸化アルミニウム(アルミナ)を含む長石質岩(花崗岩、石英粗面岩)が 風化分解されてできたもので、その風化の過程や母岩の種類により、粘土の性質が 異なります。 大きくは、次のように分類されます。 一次粘土(残留粘土)    陶石------長石質岩石が完全に風化分解しないで、半分解状態(叩けばボロボロ) のもの----可塑性は小、鉄分が少ない--(天草陶石、泉山陶石) カオリン--風化分解され、母岩の位置に近い場所に残留したもので、カオリナイト        が主成分---白く、耐火度が高く、可塑性は少ない--(朝鮮カオリン、河東                                カオリン..)   蛙目粘土--一次粘土と二次粘土の中間的なもの(一次粘土の主成分であるカオリナイト に石英粒子を含んだ粘土、-水に濡れると蛙の目のように光るところから この名が出た。)--(伊賀土、瀬戸土、信楽土..) 二次粘土(沈積粘土)   木節粘土--一次粘土が水に流され、遠くに運ばれ、その間に有機物(木節等)が含んで、    堆積したもの--粒がこまかく、相対的に黒っぽい、赤っぽい土(例外:童仙房) ---耐火性が高く、可塑性大だが、収縮率大-- (本山木節土)                      赤土------一次粘土が水に流され、遠くに運ばれ、その間有機物、鉄分を多く含み、        色は赤褐色で可塑性が大きい--せつきの原料--(備前土、常滑土)

それでは一般にやきものの原料になる土とは

土と水を試験管に入れてよく振った後、静かに放置すると、試験管の底から、粗い砂、細かい砂、 粘土、微量の腐った草木の順に堆積します。 焼き物は、この粘土が形を作る役割をします、しかしこの粘土だけで 皿を作ると、 乾燥する時 に縮みが大きくなり過ぎてヒビ割れが起こします。 従って、やきものにとってよい土とは、粘土と砂が程良く混合している 事が条件になります。
砂は、主には珪石と長石です。 珪石の成分は、地球の表面の地殻部分で最も多い成分(Si)で、どの焼き物にも自然に含まれています。 長石は、粘土や珪石に無いアルカリ(K,NA)を含んでいて、1000度以上になると徐徐に周りを熔かして 結合し、強度に優れた陶器、磁器を生成するのに大切な役割を担っています。 焼き物には、粘土、珪石、長石が必要ですが、天草陶石、のように三つの原料の特徴を全て持った珍 しい土もあります。
『休憩時間』粘土と風土
粘土は珪酸成分の多い、いわゆる痩せた土である。 植物が知っている。 土がやせている(珪酸分が多く、栄養分がない)------松、竹、が生えている所。 海の色が教えてくれる。 地中海(エメラルド グリーン:石灰石が多い) ....(中火度陶器---1100-1150゜C) 太平洋(ブルー:熱に強いSiが多い).... (高火度陶器--1200-1300゜C) 『休憩時間』焼き物とお酒
なぜ、日本で日本酒がつくられ、ヨーロッパではワインが主に造られるのか。 それは、植物が育つ土の違いに原因があるようだ、 実は、地中海のエメラルド グリーンの海も石灰質の多い土が海に流されていることに原因があり、 作物としてアルカリに強い葡萄がよく成長するからである。そして、その葡萄から、ワインが作ら れたのである。 一方、日本海のブルーの海は珪素質で酸性度の土が多い、この土壌は稲の生育に適しており、 日本の土では稲が向いており、その米から日本酒が造られたのは至極当然の結果といえる。 石灰:アルカリ----葡萄---葡萄酒 ケイ素:酸性---米---酒
(補足) 粘土と生地土 焼き物の土を単に『粘土』とよんでいますが、この場合は粘土、珪石、長石を調合したもので 別名『生地土』と言われ区別されます。 そして其の配合度合いによって、つぎのように大別されます。 ・粘土が多く、粒子が粗いと----陶器素地 ・長石が多く、粒子が細かいと--磁器素地 もともと、やきものの土はその地方独特の方法で採掘、調整され 地方独自のものが作られてきた。

やきものは土によって大きく左右され、そこに難しさがあります。

・・一に焼き、二に、 三にと言われています・・



・・参考図 1 (土のできるまで)・・


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